翌日から練習が始まった。
「そこはもっと淡々と!!」
「もっと力抜いて」
監督さんは、意外と厳しい。
…だけど、1人だけ、ほとんど注意されない人がいた。
それは、もちろん…
「新川くん…あんた、演劇部来なよ。 その才能でサッカー部なんてもったいないよ…」
そう。
演劇部の子が困ってしまうほど、新川くんは演技の上手さも抜群だった。
1週間後、いよいよクランクアップ。
「じゃあ撮影いきま~す」
カメラさんの言葉に、一気に緊張するあたしたち。
「よーい、スタート」
「おはよう、楓」
親友があたしの方に駆け寄ってきて。
「おはよう」
あたしがあいさつを返すところから、この物語は始まる――。


