―――月曜日の放課後。
新川くんはまた、黒板を背に立っていた。
「キャスト決まったから、発表するぞ! セリフがある役になった人は、あとで台本取りに来て」
クラス中が、新川くんに注目して、黙る。
「まず、主人公は……一宮楓」
へ??
「あっ…あたし!?」
「おう。 よろしく」
サラッと言ってしまう新川くん。
冗談では…なさそうだ。
自分で台本を書いておいてなんだけれど、あの役はちょっと…どころではなく、かなり恥ずかしい。
「んで、その幼なじみは…言いづらいけど、…」
まさか…
「俺」
おぉーっ、とよく分からないどよめきが起こる。
「えっ、ちょ…」
「よろしくな」
新川くんは、爽やかに笑った。
「で、親友役は…」
次々と発表していく新川くん。
だけどその声は、自分の胸の鼓動の音にかき消されて、もう耳には入っていなかった。


