「あ、あの、お客様、ご注文の方は・・・『お前、答えろや』




目の前にいる客は、そう言って私に凄む。



入って来た時は普通の、というか、
普通よりずっと品の良さそうななんか色気のあるイケメンだと思った。



服装もジージャンに白いインナーにベージュのパンツのキレイめなお兄さんで、好感度はバツグン。



誰が注文取りに行くかジャンケンになったほどだ。




結果、1番どうでもいいと思っていたであろう私がジャンケンに勝ってしまったので私が来たのだが。







彼は惜しげも無くその澄んだ瞳をこちらに真っ直ぐ向けてくる。






・・・あーもうなんなの。





「あの、お客様。ここはファミレスですので、お食事の目的以外のご利用でしたら他でお願い致します。」





冷静にそう言った私を彼はひと睨みし、




『ああ、悪い。毒盛られるかもしれねぇから知ってるやつかどうか名前だけ聞いとこうと思ってな。注文はそれだけでいい。』




「かしこまりました。」






毒ーーーー!!!!!
毒キターーーーーーーーー!!!!!
盛るか!
あほか!
つーかお前が誰だ!!!!!!!
現実にいるの?あんな人!
信じられない!!!






『アユちゃん、あのイケメンと何話してたの?!』

『長かったよね!なになに?!ナンパでもされたの?!羨ましぃー!』




「いや、違いますから。ほんと。勘弁してください。もうあたしあの席行かないですからね。絶対。」



『やったー!じゃあ私が行こう!』
『えー!私だよ!』






このファミレスの従業員はみんな私より年上の大学生かフリーターさんで、みんな美人で、みんな高校生の私のことを可愛がってくれる。



大好きだけど、ちょっとこういう女子な感じ、ついてけない。






『あ!』



と、突然大学生の橋田さんが声を上げた。



『思い出した!あの人、どっかで見たことあると思ったら・・・』



『え、だれだれ?芸能人?!』



『いや、そんなんじゃなくて・・・』





そう言って今日一緒にホールに入っているもう一人のバイトの中井さんに耳打ちする。



そして、橋田さんの言葉を聞いて中井さんは目を丸くする。