夏の球技大会、当日。
いじりやいじめを乗り越え、やっとの事で迎えた日。

 バスケのチームは、私が教室を飛び出した後、皆がなんとかして決めてくれたらしい。
・・・・きっと、遠藤くんが中心になってくれたんだろうな。
 男女それぞれ5人ずつ、計10人。
男子は遠藤くんの友達、女子は大人しめな人達と、私。
これなら、なんとか出来る、気がする。


 球技大会は、代表的な三種の球技を行う。
サッカーはグラウンド、バレーは第一体育館、バスケは第二体育館。

 もうすぐで、試合が始まる。
皆で円陣を組み、気合を入れると、各場所へと向かった。
・・・・第二体育館には、もう他のクラスの人達が集まっていた。
少しずつ緊張が高まる中、後ろから肩を叩かれたので、ビビりながらも後ろへ振向くと、

「よお、春香!」
「あっ・・・・冬彦っ!!」

 其処には、笑顔で此方を見る、冬彦がいた。

「冬彦、今年もバスケ?」
「当たり前だろ!春香も?」
「うんっ!」

 私が運動の中で唯一得意な物が、バスケ。
冬彦の得意な物も、バスケ。
私たちの共通点の一つ。

「・・・・・あ、でも・・・・今年、敵同士なんだよね・・・・・」
「まあまあ!
 正々堂々と行こうぜ!」

 また後で・・・・・そう言った後、体育館の各待機場所へと向かった。
張り詰めた空気の中、一人にこにこ笑顔で。

 各種目の試合が始まった。
もちろん、バスケの試合も。
最初は、A組対C組。

 今日は調子が良い感じで。好調な滑り出しでスタートした試合。
速攻も決め、シュートも入って。
vsC組は、36対22でA組の勝利。
A組対D組も、46対18でA組が勝利した。

・・・・残るは、冬彦たちB組との試合。
冬彦他、バスケの得意な人達の集うチームなので、なかなか・・・・手強い。
想像してしまい、少し怯えてしまうが、頑張らなくては!

「それでは、A組対B組の試合を始めます!」
「「「お願いします!!」」」

 ジャンプボール。
このボールは、見事A組が取った。
私はパスをもらい、そのままシュート・・・・・
決まった。開始直後、2点を取った!

 が、そのすぐ後。B組に点を入れられてしまった。
そのまま、点の取り合いが続き、1クォーターが終了した。

 2クォーターは、相手も此方も男子が出る。
冬彦は、2クォーターが始まってすぐ、速攻を決めた・・・・・。カッコいい。
気がつけば、其処はまるで冬彦と遠藤くんの一対一になっていた。
2人の点の取り合い。

 その後も3クォーター、4クォーターと続くこの競り合い。
4クォーター残り30秒の時には、40対40になっていた。

あと30秒。相手がシュートを決めた。
あと22秒。此方もシュートを決める。

あと15秒。相手のシュートが入った。

あと9秒。此方がシュート・・・・したものの、決まらない。
あと5秒。相手がスリーポイントからシュート・・・・。
それが入った瞬間、大きなホイッスルの音と共に、試合が終了した。


 結果は49対42。・・・・B組の、勝利。
・・・・私たちA組は、負けてしまった。

「負け、ちゃった・・・・・?」

涙が出てきた。
此処まできたら、勝ちたかった。

「泣くなよ、深里!
 俺ら、寄せ集めのチームだったんだしさ?しょうがないんだ!
 でも頑張ったじゃないか?」

遠藤くんが、私の頭をぽんぽんっと叩いた。
嬉しいんだか悲しいんだか、よく分からないけど涙がぼろぼろと溢れる。


 そんな光景を、じっと見つめる・・・・ある人が、いた。