≪ 放課後 桜の木の下 ≫


 長い様で、短い一日が終わった。
なんと凄い一日だったのだろうか。
色々あり、本当に疲れてしまった。

 その疲れを癒すため、此処にやって来たのだ。
──桜の木。
私にとって、思い出が沢山詰まったこの場所。
・・・・とても素敵で、色とりどりな思い出が。

「──春香?」

私を呼ぶ声。あの時も、今の様に優しい声だった。
その声は、私をいつも安心させてくれる──

「冬彦!
 冬彦も、来たんだ・・・・・?」
「なんかね。ふと、此処に来たくなったんだ。」
「・・・・思い出の場所だから?」
「そうかもな・・・・」

 そう話し、二人で笑い合う。
今までは、毎日、毎回のこと。
・・・・今日からは、前よりもこんな機会が減ってしまう。

「ねえ、冬彦?」
「・・・・何?」
「これからさ、
 放課後・・・・、此処でお話しないですか?」

ふと、そう言ってしまった。寂しくなってしまったんだろうか・・・・?

「何、いきなり敬語になっちゃって・・・・。
 良いよ。待ち合わせしようぜ!」
・・・冬彦、優しいな・・・。

「・・・・ありがと。」

 彼の優しさに触れる度、いつも心が温かくなる。
 彼の優しさに触れる度、涙が出てきてしまう。
最近は涙腺が緩くなってきちゃったのかな?
目から、頬をつたう・・・・涙。

「な、なんで泣いた!?
 俺、悪い事した!? ご、ごめん!」

そう言って、抱きしめてくれて。
君が優しくしてくれるから、泣いちゃうんじゃない・・・・。

「ばかぁ~~~っ!!!」
「えっ、えっ?
 なんで泣くんだよー・・・・・」
「冬彦がっ・・・・
 優しくしてくれるから、じゃんっ・・・・・!」

そう言った瞬間、冬彦はすぐに黙ってしまった。
──やっぱ、いきなりコレじゃ引くよね──
・・・そう思った瞬間。

 私の唇に、彼が口付けをしてきた──
気持ちがこもっていて・・・・とても、暖かい。

短い時間だったが、私にとってはとても長く感じて。
それでも、まだずっとこうしていたい・・・なんて気持ちが沢山あった。
唇が離れてしまうと、貴方が離れていく気がしたから。
離れてしまった後、冬彦は、

「・・・・何かあったら、いつでも俺に言えよ?」
「っ・・・・・、そんな事言われたら、もっと泣けるっ・・・・・」
「いやいや、泣くなって!」


今日は、疲れたけど・・・・
少し気分が楽になれた、一日だったかな。

学級委員長、頑張ってみようっと。