「んで、なんか私に用あるんでしょ?」 「んだんだ。橋本さんって分かる?」 私は頷いた。 橋本さんとは拓也の家を挟んで 隣の家に住むおばあさんだ。 旦那さんは若いころに亡くしたらしく 一人で住んでいる。 「その橋本さんの孫が明日から 夏休みの間来るから お前も一緒に会いに行かない?」 へぇ、あの人孫がいたんだ。 橋本さんは寡黙な老人で 自身のことは何も話さない。 橋本さんの孫が来るなんて たぶんこれが初めてだろう。