月夜の翡翠と貴方【番外集】



「…わ、悪かった。どうしても、納得いかなかったんだ」


ついには、その場に短剣を落として、ルトに頭を下げた。

…レンウの声が、震えている。


目を見開いた私の目に映る深緑は、とても暗い色をしていた。


…どうやって、ここへ来たのか。

どうして、ここがわかったのか。


けれど、目の前にルトがいるということが、何よりも嬉しかった。

…ごめん。

迷惑をかけてしまって、ごめんなさい。


ルトは、瞳に涙を溜める私の喉元を見て、目を細めた。

そして、レンウへ目を向ける。


その目は、見たことのないほどに、怒りに満ちていた。


「…お前、なにしたかわかってんの」


とてつもなく低い声が、私とレンウを震わせた。

レンウは今にも泣き出しそうな顔をして、びくびくと肩を震わせる。