月夜の翡翠と貴方【番外集】


「少し、ぼうっとしてるだけだから。気にしないで」

そう言うと、ルトは益々不機嫌に眉を寄せた。


「…ぼうっとすること、多すぎ」

「…ごめん」


…そんなに、嫌だったのだろうか。

私はもともと無口な方だから、正直ルトは自分がひとりで話すというのに、慣れていると思うのだが。

周りが木に囲まれた、狭い小道を歩きながら、ルトはこちらを見て口を開いた。

「…なに考えてたの」


少し、拗ねたような声。

ジェイドは戸惑いながら、言葉を返す。

…ここは、正直に言っておこう。


「…ル、ルトのこと」