月夜の翡翠と貴方【番外集】



さわ、と窓から風が入ってくる。

髪が揺れ、私は目を細めた。


……ルト。

私は私を、好きになりたい。


扉のそばに立つと、私は大きく口を開いた。

甘く、綺麗な声を出して。


「ねえ、この扉を開けてちょうだい」






……カシャン。

最後のひとりが、剣を手離して倒れた。

それを目に映して、俺は息をつく。

…終わった。

やっと、終わった。

周りに広がるのは、血の海。

黒の正装姿をした男達が、何人も倒れている。

そのあまりの血の匂いに、吐き気を催しそうになった。

「…はぁ、はぁ、はっ……ゲホっ」

荒い呼吸で咳き込み、座り込む。

……死ぬかと、思った。

こんな人数、ひとりで相手にしたこと、ない。

それこそ、死に物狂いだ。

喉が乾き、息は切れ、足がふらつく。

目の前に広がる光景を見て、俺は目を細めた。

そして無意識に、つぶやく。


「………人殺し……」


…そう、呼ばれたこともあった。

血で赤く染まった剣が、俺を責めているようで。

剣を持った、手が震える。

ネオとタツビのためとはいえ、やはり気は重かった。