月夜の翡翠と貴方【番外集】



「…わかったわ」

しぶしぶ箱のなかへ入りながら、ネオが「…でも…」と不安気に言った。


「……もしもジェイドさんが怪我をしたら、ルトさん、きっと悲しむわ」


私は小さく、目を見開いた。

……うん。

彼は優しいから、悲しんでくれる。

痛かっただろ、と言って、心配してくれる。

きっとそうだと、思うけれど。

……私はもう、守られるだけでいたくないのだ。

ルトの相棒として、誇れるように。

彼が好きだと言ってくれる、私が私を好きになれるように。


箱に入って、心配そうにこちらを見上げるふたりに、私は柔らかく笑った。

「…そうね。きっと、悲しんでくれる。でも…」

私がたとえ、無茶をしても。

怪我を、負っても。

それが何のためであるか、きっと彼は、わかってくれる。

…だから、大丈夫。

彼を、信じてる。


「…私の、ご主人様だもの。きっと、褒めて下さるわ」


目を見開くふたりに、影が覆いかぶさる。

そっと木箱を閉め、私は顔を上げた。