月夜の翡翠と貴方【番外集】


「オレ、こんなに綺麗な景色を見たのはじめてだ!」

タツビが明るく笑ったのを見て、ネオの顔もますます明るくなる。

星が輝く夜空と、宙を舞うたくさんの花びら、明るい音楽。

空を見上げて、こんなにも感動することは、そうそうあるものではない。

村人達の楽しそうな雰囲気に、思わず顔がほころぶ。

タツビは賑やかな周りを見渡して、感動のあまりかネオをギュッと抱きしめた。


「すげえ、ネオ!お前のおかげだよ、ありがとう!!」


ネオの顔が、真っ赤に染まる。

そして、これ以上ないくらいに頬をゆるめ、嬉しそうにはにかんだ。


……ネオはこれを見せたくて、わざわざタツビと共に帰ると言い出したのか。

改めて、この依頼を受けてよかったと思った。

こんなにも柔らかくて愛らしい、笑顔が見れたのだから。

私は小さく笑って、ルトを見た。

「綺麗だね、ルト」

「…だな。来てよかったよ、仕事だっていうのを抜きにしても」

「うん。来年も来たいなぁ」

私がそう言うと、ルトは少しの間何も言わずにこちらを見ていた。

首を傾げると、ルトはハッとしてすぐに笑う。