見ると、至る所に同じようにして籠を持った女性がいる。
村人達は口を揃えて、嬉しそうに『花舞いだ』と言った。
「何が始まるんだ…?」
ルトが不思議そうに周りを見渡す。
私たちから一番近い場所で籠を持った女性が、一度深く礼をしたのが見えた。
そして、人々の歓声と共に、籠に入っていた花びらを散らせた。
「えっ……」
様々な色の花びらが、四方八方から宙を舞って落ちてくる。
村の人々はそれに合わせて、楽しそうに踊り始めた。
どこからか軽快な音楽が流れ、村中に花びらと笑顔が舞う。
ネオは目の前を飛んでいく花びらを見て、顔を明るくした。
「これよ、これ!わたし、これが見たかったの!この村の『花舞い』が有名だと聞いて、ずっと気になっていたのよ」
舞う色とりどりの花びらのなか、ネオが嬉しそうに飛び上がる。
「すげえな…」
驚いた様子で周りを見つめるルトと一緒に、私もさらに賑やかになった村の様子を眺めた。
「タツビ、すごいでしょう?これを見せたくてね、誘ったの!素敵でしょう?」
驚き惚けているタツビの肩を、興奮したネオが揺さぶる。
タツビはしばらくぼうっと花びらが舞う様子を見つめていたが、やがて「すげえ!」と声を上げた。



