……この国の格差は、厳しいけれど。
でも…
「…あんな人達も、いるんだよな」
頭上で、ルトが呟く。
奴隷の解放を訴えた人々を、私は何も言えずに見つめていた。
*
「星が出てきたなー」
ルトが、夜空を見上げる。
先ほどの出来事ですっかり明るさを失ってしまった子供達は、ルトの言葉に何も言わない。
苦笑いを浮かべるルトの横で、私も夜空を見上げた。
年に一度とあって、村人達は徹夜で酒を飲み騒ぐらしい。
遅い時間になっても、祭りの賑やかな雰囲気は収まろうとはしていなかった。
落ち込む子供達を見て、ルトはどうしたものかという顔をする。
私も周りを見渡して、ふたりがまた目を輝かせるようなものはないかと探した。
すると、近くから村人の女の声が聞こえた。
「あっ、『花舞い』が始まるわ!」
花舞い…?
女の見上げている方へ、目を向ける。
広場の真ん中に、高い木の梯子のいちばん上に足をかけた女性が、大きな籠を持っていた。



