……不器用でも、それでも。
想いは、きっと届く。
*
ついに、夜会の日がやってきた。
オリザーヌ邸では、朝から夜会の準備で使用人達が慌ただしく動き回っている。
午後になると、セルシアとロディーも準備を始めた。
私達も前回と同様に、ノワードから召使いの服を借りようと思っていた…の、だが。
「そうだわっ、ジェイドさん!よろしければ、私のドレスを着ませんか!?」
召使いに手伝ってもらいながら、セルシアがドレスを着ている。
同じ部屋で着替えようと思い、ノワードを待っていたとき、彼女が思いついたようにそう言ったのだ。
「……えっ!?」
突然の提案に、髪のリボンを解こうとしていた手が止まる。
私が、セルシアのドレスを?
「私がもともと持っていた二着、もう売ってしまおうかと思っているのです。ですから、最後にジェイドさんに着ていただきたくて」
セルシアが今日着るのは、ロディーから贈られたドレスだ。
今までに着ていたものを全て手放すことで、けじめをつけようとしているのかもしれない。
…しかし、だからといって…
「セ…セルシア。私はただの旅人です。他の貴族の方々と同じようにドレスを着るなんて、さすがに恐れ多いわ」
「そんなことありません!貴女のように見目麗しい方が着飾らないなんて、もったいない」
ね?と言って、ドレスを着たセルシアが私の背中を押して、部屋を出ようとする。



