月夜の翡翠と貴方【番外集】



「…セル……」


そう言いかけて、苦々しく唇を噛む。

ため息をついて、ロディーは席を立った。


「ロディー様っ…」

「……頭を冷やしてくる。ついてくるな」


ついてくるな、と言う言葉に、セルシアの瞳から涙が零れた。

彼は、今にも部屋を出て行こうとしている。

しかし、セルシアは黙っていなかった。


「待って下さい!」


その大声に、ロディーがびくりと肩を揺らす。

驚いて振り返った彼に、セルシアは「なんなんですか!」と叫んだ。

「……は?」

『なんなんですか』…?

「なんなんですか、ロディー様!今までは、なにも言わずにキスしようとして!やっと来て下さったと思ったら、嬉しいお言葉ばかり下さって……!」

ボロボロと涙を流しながら、褒めているのかけなしているのかわからない事を言い続ける。

ロディーは、突然のことに困惑して、なにも言えないようだった。

仕方なく、私は苦笑いをしながら声を掛ける。

「…セ、セルシア様…」

「ジェイドさんも、そう思いませんか!?」

ええっ。

なだめようと思ったら、同意を求められてしまった。