月夜の翡翠と貴方【番外集】



それから四人で、客室へ入った。

相変わらず、ドカッと椅子に腰掛けるロディー。

セルシアは、やはりニコニコと笑っていた。

気のせいだったのか、と息をついたとき、部屋に召使いの女が入ってきた。


「失礼致します。紅茶が入りました」

「ありがとう」


セルシアが、優しく微笑む。

「それでは」と言って部屋を出ようとした女は、「あっ」と言って立ち止まった。

何かを思い出したようだ。

「あの…おふたりとも」

恥ずかしそうに頬を赤く染めて、セルシアとロディー、そして何故か私とルトまでチラチラと見てくる。

…な、なんだ……?

皆が眉を寄せるなか、彼女は「旦那様から伝言を仰せつかっております」と言った。

「えっ………」

セルシアが、びく、と肩を震わせた。

…あの、厳格な当主か。

一体、何を…


「…『今晩は、同じ部屋で寝てはどうか』…とのことです」


セルシアとロディーが、目を見開く。

ルトはやはり、ニヤニヤしていた。