「なになに、可愛いじゃーん。どしたの、いきなり」
「べっ、別に…」
頭を撫でてくる手を退けようと、顔を上げる。
すると、彼は急に悲しそうに微笑んだ。
「……それでいいよ、お前は。無理に言葉にしようとしなくても、伝わってるよ」
…何故彼が、こんなに寂しそうな目をして笑うのか、私にはわからないけれど。
愛しいと、思った。
彼に、この愛を、伝えたいと思った。
す、と背伸びをして、かかとを上げる。
ゆっくりと触れるだけのキスをして、私は彼の目を見つめた。
「……これで、もっと伝わった?」
ルトが頬を微かに赤く染めて、恥ずかしそうにはにかむ。
…きっと、想いの伝え方も、受け取り方も。
人それぞれに、違うから。
すれ違っていたセルシアとロディーは、やっと見つけたのかもしれない。
ふたりのための、愛情表情の仕方を。
*
「ロディー様っ、食事の用意が整いましたわ」
階段をおりながら、階下にいる彼へそう声を掛ける。



