「…私も、白が良いと思います。よくお似合いでした」
「じゃあ、白にしますわ!」
飛び跳ねるくらいに軽やかな足取りをして、セルシアがたくさんのレースがあしらわれた白のドレスを手にとる。
もう一度自分の身体にドレスを当てて、ふふっと微笑む。
そして、ロディーに向かって笑いかけた。
「ありがとうございます、ロディー様!」
…ロディーは照れ臭そうに、フン、と目をそらした。
*
その後もふたりは順調に仲を深めていき、セルシアの顔に笑顔が増えてきた。
ロディーの不器用な愛情を、必死に気付こうとしているようだ。
一方でロディーは、なかなかプロポーズの言葉が言えず、やはり悶々としていた。
いざ『好きだ』という言葉を口にするのは、とても難しいものなのだ。
偶然邸のなかでルトとふたりになったとき、そう思った。
「あのふたり、案外上手くいきそうだな」
そう言って笑う、ルトを見上げる。
…思えばルトは、恋人達の恥ずかしい言葉さえも、躊躇なく言ってしまう男だ。
もちろん、私よりも彼は喋るのが得意であるし、女の扱いにも慣れているから、当然のことではあるのだけれど。
…私も、彼のようにあっさりと言えたらいいのに。
ルトがくれる言葉の分、私も何かを伝えられたらいいのに。



