月夜の翡翠と貴方【番外集】



碧の髪に淡い光が灯ったとき、私は立ち止まった。

そして、前を見据えて、強く言い放つ。


「それを、あなた達が邪魔しようとするなら…『私達』が、許さない」


この村のために、今必死になっている少女がいる。

…私の初めての、女の子の…友達。

優しい笑みをした、彼女が切に願うこと。

この家の住民である女性の、あの怯えきった顔が目に焼き付いている。

色んなひとの、笑顔がかかっているのだ。

このあと、きっと彼女が笑ってくれるよう。


私は今このとき、全力を尽くすだけ…!


こちらを眉をひそめて見つめる彼らに指をさして、私は大きく口を開いた。


「…絶対、許さない!」


四人の男女が一斉に、歯を食いしばってこちらへ向かってくる。

そう、狙うは、私。

この碧の花を、枯らしてしまえと。

こんな女に、邪魔されてたまるかと。

…それでいい。


狙いが私へ一点に定まれば、すぐそばで息をひそめている獣に、誰も気づきはしない。


剣を振りかざした男が、私へと確実に近づいて来る。

私はそれを真正面から見つめ、動かなかった。