フードを目深に被り、灯りのついていない真っ暗な村の中を、ゆっくりと進む。
暗闇に紛れることができるよう、ノワードが作ってくれたフード付きの黒の外套を着ている。
きっと、音を立てなければ気づかれない。
…今回の盗賊退治の、手順はこうだ。
今、私とルトは、持ち運べるように取ってのついた、鉄製の四角い箱を持っている。
そのなかには、火のついた小さな燭台が入っている。
強盗を見つけたら、そこから最も近い篝火台に燭台から火を灯して、強盗の位置を周りにわかるようにするのだ。
最初から全ての篝火台に火を付けていたら、まず強盗は来ない。
だからわざといつも通りに暗くして、おびき寄せる。
…つまりはまず強盗を、私とルトのどちらかが見つけ出さなければならないのだ。
あらかじめ、上層にあるオリザーヌの邸のテラスから、ノワードが下層を見張っていてくれている。
下層の西側のどこかに火がつけば、火のついた蝋燭をふたつ。
東側に火がつけば蝋燭をひとつ、ノワードが掲げてくれる。
それによって、オリザーヌの邸のほうを見れば、私とルト、どちらの側に強盗がいるのか、すぐにわかるというわけだ。



