…ずっとひとりだと、思っていたから。
リズパナリの家を出て、身寄りも友人もいない、私はひとりぼっちになった。
主人はいたけれど、私はいつもひとりで生きていた。戦っていた。
…けれど、もう、ひとりじゃない。
私は、ひとりじゃない。
ルトが一緒に、戦ってくれる。
「…うん。ルトが、いるもんね」
涙の浮いた瞳を細めて、笑う。
ルトは「ん」と嬉しそうに言うと、もう一度強く私の手を握った。
「…負けんなよ。敵にも、…自分にも」
…負けない。
だって、ルトがいるから。
彼が諦めないなら、私も諦めない。
ルトの言葉は、私を強くする。
*
「ジェイドさん、髪、結って差し上げますわ」
篝火の準備が終わり、オリザーヌの邸へ戻ったとき、セルシアがそう声をかけてきた。



