「男性は俺と薪割りを、女性は彼女と一緒に、その薪を持って篝火台を置きに行って下さい」
『彼女』というのは、私の事だ。
私の横に、金属でできた篝火台がいくつも置かれている。
ロディーに木材と一緒に、古い篝火台ももらったのだ。
「えーと…このなかで、斧を持ってる方いらっしゃいませんか」
ルトがそう言うと、すぐそばの家に住んでいるらしい老婆が、「はいはい、あるよ」と言った。
「あ、ありがとうございます」
老婆と若い男が、斧を取りに行ってくれた。
「すごいわ。私、薪割りなんて見るの初めてよ」
その間もルトは、てきぱきと説明していく。
それを興味しんしんに聞いていたセルシアに、ノワードが眉を寄せた。
「…まさかお嬢様、ご自分も作業に加わるおつもりですか」
「もちろんよ」
さらりと言ってのけた彼女に、ノワードは再びため息をつく。
…本当に、たくましい令嬢だ。
「だめです。このあとはお稽古ですし、これ以上は旦那様に叱られますよ」
「そんなの、いつだって出来るでしょう。今はこちらを優先すべきだわ」
むっとした顔で睨み合っているふたりをみて、いくつか斧を持って戻ってきた男が、面白そうに笑った。



