村人たちが顔を見合わせ、ざわざわと騒がしくなってきたところで、セルシアは話し始めた。
「最近、村で強盗が夜な夜な民家を襲っているのは、皆様もご存知だと思います」
セルシアの真剣な瞳に、村人たちも話をやめて、彼女の言葉に耳を傾け始めた。
…あんなにまで憔悴しきっていた村人たちの顔つきが、こんなにも変わるなんて。
「情けない限りですが、今までオリザーヌに、強盗を追い出す術はありませんでした。しかし、つい最近、強盗を退治しようと申し出て下さった方がいらっしゃるのです!」
おおっ、と、村人たちが歓声を上げる。
そして、セルシアは伸ばした手をこちらへ向けてきた。
「あのおふたりですわ!」
たくさんの期待に満ちた視線が、私達に集まった。
突然のことで、思わずびくりとする。
「……セルシア嬢…」
ルトが苦笑いを浮かべて、そうつぶやいた。
村人たちは口々に、「あの方々が…!」とか「なんだか強そう!」だとか言っている。
セルシアもなんだか楽しそうだから、私達は黙っておくことにしよう。



