抱きしめられながらちらりとロディーのほうを見ると、彼は信じられないという顔で眉を寄せていた。
「どうですか!こんな風に、セルシア様にも!」
私の反応に気を良くしたのか、ルトはニコニコと笑っている。
ロディーは少しばかり頬を朱に染めて、首を勢い良く横に振った。
「絶対に無理だ!」
「出来ますよ!…あ、そうだ!」
今度は何を思いついたのか、彼は私の身体を離すと、バンと机を叩いた。
「プロポーズしましょう!」
ロディーの顔が、今日いちばんに歪んだ。
*
ロディーに薪の手配を頼んだのち、私とルトはディアフィーネへ帰った。
私達がいくら説得しても彼はしおらしい態度のひとつも見せなかったが、結局馬車で二日後に、ディアフィーネを訪れることを約束してくれた。
彼自身もセルシアと会う必要があるとは思っていたらしい。
早急な手配のおかげで、私達は木材を持って帰ることが出来たのだが。
「…まぁ、俺たちだけじゃ、無理だよな」
オリザーヌの邸から外に出た私達は、下層と上層をつなぐ階段のそばで、大量の木材を地面に広げていた。



