「…そう思って、なんとか口説き落とそうとしたんだが…セルシアは、頑固で臆病だ。俺が優しく近づいても、拒むばかり」
……だいぶ不器用であるところが、残念だが。
一体どうすればいいんだ、と頭を悩ませるロディーに、ルトは盛大なため息をついた。
「だから、すぐに身体で落とそうとするのが駄目なんですよ。女は言葉に弱いんですよ。言葉。誠実な言葉です」
「……誠実な、言葉?」
ロディーが眉を寄せる。
ルトは「例えば」と言うと、突然私の片手を握ってきた。
そして、じっと見つめられる。
少しだけどきりとしたところで、ふわりと微笑まれた。
流れるように彼は私の手の甲に口つけると、また私の目を見つめてきて。
「…好きだ。俺と、ずっと一緒にいてほしい」
…甘く柔らかな声で、そう言った。
一瞬で、自分の顔に熱が集まってくるのがわかる。
「あはは、真っ赤!可愛いなぁジェイドー!」
驚いているうちに、ぎゅっと抱きしめられた。
…ああもう、恥ずかしい男。
なんだってロディーの前で、こんなことをされなきゃならないんだ。



