月夜の翡翠と貴方【番外集】



「『ねえ、お歌をうたって。あなたの歌って、なんだかきらきらしているから、わたしだいすきなの』」

たどたどしく、けれど一生懸命な言葉が、子供らしい。

ロゼはその言葉に、ふふ、と嬉しそうに笑う。

「『きらきらしているの?ああ、確かに前、あるお方に言われたことがあるわ。君の歌は、まるで辺りに星が降っているようだって』」

スジュナは、ぱあっと顔を明るくさせた。

「『そうよ、星がふっているの!あなたのまわりだけに星がかがやいていて、とってもきれい!あなたって、やっぱりすてきな人間ね』」

森の妖精レミールは、美しく才に恵まれた親友ピスパニラを、誇らしく思っている。

ピスパニラも、無邪気で明るいレミールに元気をもらっている。

けれど、ふたりは突然、森の女神によって離れ離れにされてしまった。

第四項目は、スジュナがひとりで演技をする。

スジュナは床に膝をついて、胸の前に両手を組むと、上を見上げた。

「『ああ。どうして、女神さま。ピスパニラは、あんなにもやさしい子なのに。あの子はけっして、わるい人間なんかじゃありません』」

その後も順調にふたりは演技を続け、ついに最後の項目となった。