月夜の翡翠と貴方【番外集】



台詞から察するに、話の展開はこうだ。


ふたりは出会ってから、話をしたり一緒に遊んだりしながら、親しくなっていく。

しかしレミールは、人間の少女と仲良くなった罰として、森の女神に森の奥から出ることを禁止されてしまう。

しかし、女神にピスパニラは悪い人間ではないと話をし、一日だけ外に出ることを許される。

そして、ふたりが森の近くの草原で再会するのが…最後のシーンなのだ。

ピスパニラがレミールを抱きしめると、レミールはとても嬉しそうに笑う。

その間台詞はなく、表情だけの演技をしなければならない。


私はスジュナを抱きしめるまでの台詞を確認すると、スジュナへ向いた。

こちらの台詞を待つ目に気づき、私はふ、と笑う。

そして、表情をつくった。


「『…レミール…レミールなの…?』」


スジュナを見つめ、口元を手で覆う。

スジュナははっとしたようにこちらを見ると、きょろきょろと辺りを見回した。