「やっぱり、女の人が言うとやりやすい!ありがとう、おねえちゃん」
演技もうまいね、と言ってくれるスジュナに、顔が熱くなる。
「ふは…うん、うまかったよ、ジェイド」
言いながら、笑いを堪えているのが丸わかりな横の男は無視しておくとして。
「…じゃあ、次ね」
今度は、スジュナからだ。
少女は、楽しそうに「うん」と笑った。
*
そして、全部で九つあった台詞の掛け合いが終わった。
残るは、最後のシーン。
…ロゼが、スジュナを抱きしめるシーンだ。
「……する?最後の…」
紙を見ながら、問いかける。
スジュナは少し迷ったように目を伏せたあと、「…する」と言った。
「まだ、これだけちゃんとできてないから…」
「…そっか」
この演技の試験において、ふたりの役はロゼが『ピスパニラ』、スジュナが『レミール』。
森の妖精レミールと、人間の少女ピスパニラの、絆の物語である。
どうやらその物語から一部を抜粋して、この試験の各項目にしているようだ。



