月夜の翡翠と貴方【番外集】



「やっぱり、女の人が言うとやりやすい!ありがとう、おねえちゃん」

演技もうまいね、と言ってくれるスジュナに、顔が熱くなる。

「ふは…うん、うまかったよ、ジェイド」

言いながら、笑いを堪えているのが丸わかりな横の男は無視しておくとして。

「…じゃあ、次ね」

今度は、スジュナからだ。

少女は、楽しそうに「うん」と笑った。






そして、全部で九つあった台詞の掛け合いが終わった。

残るは、最後のシーン。


…ロゼが、スジュナを抱きしめるシーンだ。


「……する?最後の…」

紙を見ながら、問いかける。

スジュナは少し迷ったように目を伏せたあと、「…する」と言った。



「まだ、これだけちゃんとできてないから…」

「…そっか」


この演技の試験において、ふたりの役はロゼが『ピスパニラ』、スジュナが『レミール』。

森の妖精レミールと、人間の少女ピスパニラの、絆の物語である。

どうやらその物語から一部を抜粋して、この試験の各項目にしているようだ。