月夜の翡翠と貴方【番外集】



ルトも、横からそれを覗き込んでくる。

その紙束には、演技の台詞や動きが書かれているようだった。


「……これって……」

「…ふはっ」


真横から、笑い声が聞こえた。

そちらを見ると、ルトが声を押し殺して笑っている。

「………ちょっと」

睨むと、彼はいかにも可笑しそうに「いや、だって」と笑いながら言った。

「…練習って、演技の練習だろ…?ジェイドが、演技っ……」

ぷぷぷと失礼な笑い方をしながら、私の主人はこちらを見てくる。

それを横目に睨んでいると、スジュナが不安そうな目をした。

「…だ…駄目なら、いいよ…?」

「あっ…ち、違うの。私、下手かもしれないけど、いい?」

自分で芝居がかったことをしたことならあるが、こうやって紙に書かれた台詞を読み上げるというのは、初めてである。

私の言葉に、スジュナはぱあっと顔を明るくした。