月夜の翡翠と貴方【番外集】



劇場の留守は、数名残った団員がするらしいのだが、スジュナが自ら私達についていて欲しいと言ったらしい。

やはり幼い少女にとって、ラサバがいないこの状況は、不安なのかもしれない。



「おねえちゃん、おにいちゃん、ありがとう!」


部屋へ入った私達に、スジュナは明るい笑顔で迎え入れた。

その様子にほっとしながら、「ううん」と笑いかける。

「こちらこそ、呼んでくれてありがとう」

スジュナは照れたように「ふふ」とはにかんだ。


さて、これからスジュナが寝るまで、どうしようか。

ラサバには、私達も今晩この部屋で過ごして構わないと言われている。

淡い明かりが灯った部屋を眺めていると、スジュナがなにやら紙束を持って私を呼んだ。


「おねえちゃん、いっしょに練習して!」


こちらへ向かって、その紙束を見せてくる。

「…練習………?」

不思議に思いながら、その紙束を受け取った。