ただ奴隷は、それを表に出すことを、禁じられてしまったから。
だから、人々は忘れてしまうのだろう。
人間の証である『感情』を、奴隷も持っているということを。
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夕方になって、私達は劇場へ向かった。
ラサバから、スジュナを劇場裏の部屋のなかで見ていてくれと、頼まれたのである。
彼はやはり、二ヶ月前と変わらない表情で『すみません!わざわざ訪ねてきてくださったのに、また頼んでしまってすみません!』と、頭を上下させていた。
私としてはスジュナともう少し話をしたかったし、ルトもルトでやはりあっさりと承諾した。
なんでも、今日の晩から明日の昼にかけて、劇団員のほとんどが遠くへ買い出しに行くらしい。
衣装に使う布地や、劇場の装飾の材料など、この街で調達できないものを遠くの街まで買いに行くという。
晩から出発しないと船がないとかで、劇団員たちは忙しそうに家を出て行った。



