私の過去。
思い出したくない過去。
ずっと頭の隅にしまっておいた過去。

中学1年のときだった。
私にはくるみっていう親友がいた。
くるみは優しくて、かわいくて、勉強ができて、何もかもできる女の子。
私の憧れだった。
私はくるみがあんなことするとは思ってなかった。
ある日学校に行くと上履きがなかった。
おかしいな。
昨日入れたはずなのにと思った。
教室に行くとくるみがいつもの笑顔で笑ってきた。
「おはよう。
 双葉ちゃん。
 上履きどうしたの?」 
「上履きなくなっちゃった。」
「えっ!
 何で?」
「知らないや。」
「探しに行こ!」
「えっけど…。」 
「大丈夫。
 私達親友でしょ!」
「ありがとう。」
くるみがそう言ってくれて本当に嬉しかった。 
私の上履きは落書きされて捨てられていた。
「双葉ちゃん…気にしないで。」
「うん…。」 
「私が犯人見つける。」
今思えば既に始まっていたんだ。
次の日も物がなくなっていた。
毎日毎日、なくなっていた。
ある日学校に行くといつも笑顔でこっちに来るくるみがこなかった。
「くるみー♪
 おはよ!」
「……。」
「くるみ?
 どうしたの?」
「触らないで。」
「えっ?」
「触るなって言ってるの。
 聞こえない?」
「どうしたの?
 くるみ?」
「ほんとキモイから」
周りのみんなが笑ってる。
誰かが黒板に
《高橋双葉は死んで下さい。》
えっ。何これ?
「みんなどうしたの?」
「みんなあんたに死んで欲しいの。」
くるみが言った。
「今まで上履きなくなったりしてたでしょ?
あれやったの全部このクラスのみんな。」
「えっ?
 くるみはしてないよね?」
「したよ。
 だいたいさ~あんたうざい。
 親友とか信じない方がいいよ?
 あんたあたしに親友って言われて喜ん
 でたよね?
 馬鹿みたい。」
くるみが何言ってるか分からない?
息が出来ない。
苦しい。何これ?
助けてよ。
私は走った。
「待ちなよ。
 まだ終わってないよ?」
いつも大人しい川原さんが私に水をかける。
制服も何もかもびちょびちょ。
最低。
何なの?
私何かしたの?
意味が分からない。
今なら死ねる気がする。
私は帰って思いきり泣いた。
ずっとずっとずっと。
涙が枯れるまで。
私はこの日から人を嫌いになった。
るりも親友だけど裏切られてもどうも思わない。


これを蓮に言ったらどうなるかな?
助けてくれる?
それともつきはなす?
けど言えない。
私は一人だ。