私は髪をとりあえず巻いて、いつもより丁寧に化粧をして可愛いピアス、ネックレス、お守りのピンキーリングをして待ち合わせ場所に向かった。

死にそうなくらいドキドキしてる。
例えるなら、カケッコでピストルがなるのを待つ瞬間かな。

ありさちゃんが門でもう待っていた。
「ありさちゃん。久しぶりだね!」

「早く乗って?!」

「あっ、おじゃましまーす」

私達は目的地まで卒業してから今までの話を沢山した。
話しているとあっという間についてしまった!
車を駐車場にとめ、会場まで歩いていく。
もう頭がおかしいくらい二人は、テンションが高かった!

「受付はこちらで〜す」

お兄さんが案内している。
ありさちゃんが、受付をしている間あたしはもうそれはそれは丁寧に化粧のチェックをしていた。

「かおりちゃんいこー!」
今日のエキストラのシーンはライブのお客さん役。しかもね、一番前だったの。こんなのありえる?私は倒れるかと思ったよ。

「でわ、今日の撮影の説明をしまーす。」
担当のお兄さんが説明していたが、私は全く耳に入ってこなかった。

バン

いきなり電気が消え、ステージに明かりがついた。

「でわはじめまーす。3、2、、、」


周りのエキストラが歓声をあびる。私は驚きと緊張で呆然としてしまった。

すると、ゆうくんとけんと、あと知らない俳優さんが二人がステージにいた。ゆうくんたちは、バンドを目指している高校生だった。
そして、ある日デビューすることになり、デビューライブがこの撮影。

私はね、、なぜか泣いてた。目から勝手に溢れてくる涙をこらえることはできなかった。もう、涙でにじみすぎてゆうくんがぼやけてみえたよ。きっと化粧もボロボロだと思う。
一番前なのに、なにやってんだろ。。でも、歌声だけはちゃんと耳に入ってたよ。
もう、いわれたこと何一つ出来なかったわ。

ゆうくん。私のことみえてたかな。私にきずいてくれたかな。わかるわけないよね。私にはちゃんと見えてるけどね。