俺にはAnsyalしかないから。




Ansyalを
大切にしていきたいから。






二日後、俺は唯ちゃんやAnsyalメンバーと共に
10ヶ月ぶりに日本に帰国した。


帰国した空港には、
フラッシュの嵐。


マスコミの対応に追われた日々をこなして、
俺は学院へと足を踏み入れた。


留学中、交換留学先として
通っていた提携校からの成績を踏まえて
無事に高校三年生へと進級を果たした俺は
高三になって初めてのクラスへと入室する。



担任は繰り上がりで唯ちゃん。


俺が教室に入った途端、
クラスの奴らが音弥の合図で
一斉にクラッカーを鳴らす。



パンっ。
パンっ。
パンっ。
パンっ。



ちょっぴり焦げ臭い匂いと共に
打ち鳴らされた音に、
慌てた他の教室の先生たちが
姿を見せる。




唯ちゃんはそんな俺たちの
尻拭いに、
ペコペコと謝罪をして
「こらぁ~」っと怒りながらも
なんだか嬉しそうだった。




改めて向かい合った教室。




あの場所に居る唯ちゃんは、
やっぱり教師で
俺はまだ生徒。





だけど今は、
この時間を思いっきり
楽しみたいと思った。




俺らしく、
唯ちゃんらしく。



高校生活、残り約半年。



それぞれの時間を
自分らしく……歩いて行く。



それは決して、
回り道ではないのだから。