「ほな幸せ絶頂の託実にタッチ」
なんて言って十夜さんの声は消えた。
『おいっ、十夜。
俺で遊ぶなってったく。
来夢ちゃんにお前の女癖、ばらすぞ』
身も蓋もない……。
十夜さんと兄貴と託実さん。
多分……託実さんは、
兄貴ら二人の弄られ役だったのかなっと
思わず笑えてしまった。
「んん?雪貴?
お前も笑ってんのか?」
不機嫌そうなトーンの声に
笑いを抑えて、言葉を返す。
「すいません。
でも……こんな風に笑ったの久しぶりです。
兄貴にもこうやって託実さん、
弄られてたのかなって思ったら笑えて」
「まっ、あいつらを抑えるには
俺みたいに弄られるやつも必要なんだよ。
雪貴、急で悪いけど
今月末、俺と百花の結婚式することになった。
百花のお腹が出てくる前に
好きなウェディングドレス着せてやりたいしな。
アイツが自分でデザインしたんだ……。
俺の衣装と一緒に」
「はいっ……。
俺、都合付けて帰国します」
「悪いな。
貴重な留学の時間を奪っちまって」
「いえっ。
百花さんは?」
「マンションでキレてるだろう。
唯ちゃんと百花って、
なんであんなんだろうな」
そんな意味深な言葉を呟いて、
託実さんの電話は途切れた。
えぇー。



