思わぬ声に、不安が広がっていく。
「保護って?
十夜さん、唯ちゃんどうしたんですか?」
「まぁ、任せとけ。
唯ちゃんの方は、ええようにしたる。
当面は俺のところに住まわせる。
ええなっ。
まっ、子猫が天然で相手するやろ。
雪貴が不安にならんでも、
その間、俺は紀天の家に転がるから安心せーや」
「十夜さん、俺……別に。
十夜さんのことは信頼してますから」
「ほな、全て任しや。
んでこっちは別件。
俺もお前んとこかけよう思てたんやけどな、
託実のヤツ、百【もも】ちゃん孕ませたやろ」
孕ませたって……。
「妊娠したのは知ってますよ。
託実さん、喜んでました」
「まぁ、確かに。
アイツの喜びようは尋常やないわな。
すでに赤ちゃんアイテム、物色しとるからな。
あっ、それで本題な。
結婚式でAnsyal復活させたいんや。
俺らからアイツへの祝い。
百ちゃんもAnsyal好きやしな。
んで、雪貴はどうかなって?」
一日限り復活。
それは……託実さんから百花さんの妊娠を
聴いたときに、俺も微かに思ってた。
結婚式に……出来たらいいなって。
この場所に来て、
Ansyalのサウンドと少し離れて
思ったことは思ってた以上に、
俺自身がAnsyalを
自分に一部にしていた事実。
「いいですよ。
俺も少し考えてたんです。
けど……俺からは言いだしにくて。
俺もやりたいですけど、
兄貴が居たら、
兄貴が真っ先に言い出したんじゃないかなって」
「そうかもな。
んな、さっきの話は内緒。場所移動するわ」
そう言うと動いているらしい
十夜さんの声が少し遠くなる。
唯ちゃんの声が聴ける?
そんな期待が転がる俺。



