日本での出来事が気になりながらも、
俺は、今も
この場所でピアノと向き合う日々が続いてた。


一年後にDTVTと演奏する。


国臣さんが思いつきで口に出した
その課題は、
裕先生との時間を過ごして
帰宅した俺に、
決定事項として告げられた。



翌日から、授業の合間に
更にパワーアップした
カリュキュラムと向き合う。



今も唯ちゃんのことは気になってる。


だけど唯ちゃんには、
音弥たちがいる。

託実さんもいる。
百花さんもいる……。


だから俺は……今、
出来ることをしなきゃいけない。



帰宅してレッスン室に閉じこもると、
そのまま伊集院さんからの
課題と再び向き合う。


何度も何度も繰り返し弾きこむものの
思い通りに音色は映してくれない。



ただ楽譜を追いかけることは出来る。


だけど肝心な中身まで届かない。


どれだけ繰り返しても、
思い通りにならない音色に、
自分自身にイライラして、
その場で鍵盤に手のひらを叩きつけた。


レッスン室に、不協和音が鳴り響く。