私が知られたくない過去は、
アイツの口から、
霧生くんに……。
霧生くんを通して、
雪貴にまで伝わっちゃう。
どうして?
ようやく手に入れた
穏やかな日々は、
こんなにも簡単に崩れてしまうの?
学院を飛び出した私は、
ただ……からっぽになった心の中に、
雪貴の温もりを感じたかった。
自宅には戻らずに、
ふらふらと向かったのは、
雪貴と暮らし続けたマンション。
鞄の中には、
今も合鍵は入ってるけど
中にまで入る勇気はない。
ただマンション前の公園の
ブランコに腰掛けて、
ゆらゆらと揺られながら
雪貴が暮らしていたマンションを
眺めていた。
すぐ傍には、
百花が住むマンションが
そこに行くことも出来ず、
辺りは真っ暗になっていく。
それでもその場所から
離れることは出来なくて。