頼みの百花は、
現在、妊娠中。



妊婦さんに負担かけるなんて
しちゃいけない。


それにあそこには、
託実さんもいる。


託実さんは、
雪貴に連絡しちゃう。




これは私の問題なんだよ。







自分で、
解決しなきゃいけないんだ。





必死に言い聞かせる時間。





学院内でも付きまとい続ける
アイツを振りほどく気力もない。





ストレスからか、
食欲が遠のいていく。




授業の後、
逃げ出すように
音楽準備室に駆け込む。




携帯の中には、
あの日貰ったCDの大切な曲と、
雪貴が投稿サイトに公開していた
大切なlove Song。




机に突っ伏して、
音楽を聞きながら
ぐったりと体を委ねた。





いつの間にか
眠ってしまっていたみたいで、
外からドアを叩く音で目が覚めた。



「唯ちゃん。
 居るよね、俺。

 霧生、居たら開けてよ」


その声を受けて、
ためらいがちに内側から鍵を開ける。


ドアが開けられて、
中に入ってくる霧生くん。