痛む指に焦り、
焦る練習に音は伴わない。


周囲からのプレッシャーは大きく、
憧れる音色は果てしなく遠い。

その音を受け止めるために、
自らの未熟さに、
押しつぶされそうになる。



その不安からは……
少しは解放されそうだ。





そしたら……俺は、
日々の練習をやり過ごしながら
唯ちゃんのことをもっと
考えることが出来る。






唯ちゃん……
今の俺には何も出来ないけど、
この場所で
思い続けることはやめないから。





兄貴……
俺の代わりに今は、
唯ちゃんを守ってくれよな。