初めての留学。

当初は戸惑っていた、
時間の使い方も、
効率よくこなせるようになってきた。


言語問題も少しずつ
改善されて、今では
通訳をして貰わなくても
その意味が理解できるようになってきた。



短期間で、
ここまで俺自身の生活レベルが
向上したのは、
留学先でサポートしてくれる、
伊集院さんや惣領さんのおかげ。





唯ちゃんとは、やっぱり連絡が
なかなかな取れないまま、
時間だけが過ぎていく。



だけど今は、
すぐに駆けつけられる場所にいない。



日本には、音弥が居る。

それに……、百花さんと託実さんも
気にしてくれてる。


三人に任せているから、
俺は今、俺がやるべきことをしよう。



そんな思いで、日々をこなしていた。





「雪貴、入っていい?」




ノックをして声が聞こえた相手は、
国臣さん。




「明日、日本から
 宝珠と高臣が来るよ。

 その時に一つ提案しようと思うんだ。

 一年間の留学の集大成は、
 DTVTとして、ボクと共演するって言うのは?

 ラフマニノフ演奏した時は、
 ピアノのボクは蚊帳の外だったからね。

 その為の曲も、君が全て編曲するって方向で
 詰めるから、宜しく」