唯ちゃんのことは気になりながらも
せっかくの留学。

少しでも多く、自分の身に吸収したくて
まずは語学の勉強から必死に始める。

時折、惣領家に顔を出してくださる
大先輩兼、理事会メンバーの伊集院紫音
【いじゅういん しおん】さま。



紫音さまが、
俺の語学指導も受け持ってくれた。



ホームステイ先に準備されていたのは、
ベーゼンドルファーインペリアルのみ。



あのコンクール本選で演奏した
名器がレッスン室に安置されている。





「雪貴、エルが呼んでる。

 早くレッスン室に行こう」



そうやって俺に話しかけてくれるのは、
神前悧羅学院に出身、DTVT所属。

ホームステイ先の主でもある、
惣領国臣さん。


この家のピアノがインペリアルだけなのは、
国臣さんとインペリアルの縁が深いから。




国臣さんと共に訪れたレッスン室。



エルディノさんのレッスンは、
唯ちゃんの比じゃなくて、
留学前にあれだけ唯ちゃんの鬼レッスンを成しえた
後でも、ついていくのがやっとの状態だった。