「唯香、陽性だったの。
 
 妊娠チェックしたら、
 陽性だったのよ」


突如告げられた告白に、
私自身、何て言葉を返したらいいか
思考が付いて行かなかった。


「唯?

 唯香?」


思考が停止した沈黙の時間。

微かに耳で捉えた、
百花が私を呼ぶ声に
ようやく現実感が目覚めた。


「妊娠って、病院は?
 託実さんは?」

「託実は今、スタジオ。
 プロデューサーとして活発だから」

「なるほどね。

 わかった、今日はもう仕事あがれるから
 今から付き添うよ。

 病院、行ってちゃんと
 確認して貰う方がいいでしょ」

「うん。

 だったら今から
 車で校門まで迎えに行くよ」



電話をきって、準備室で
明日の部活用の資料だけをまとめると
職員室へと顔を出して、
荷物を持って校門へと向かった。

百花の車の助手席に乗り込んで、
そのまま大学病院へと向かった。



何も知らない病院よりは、
知ってるスタッフが居るところの方が
いいかもって言う
安易な考え方。



受付で裕先生か、
裕真先生が捕まらないか確認する。


裕真先生に関しては
アポなしで捕まる可能性は
殆どないんだけど、そこは百花。


百花は託実の彼女で、
現在、同棲中。