「あっ……あの……。

 あまりに突然すぎて、
 整理できてないんですけど、
 十夜さん、何処から出没しました?」


雪貴たちの会話に割って入るように
言葉を紡ぐ。


「何処からって、あっこ。

 あのマンション、
 こっち側は俺のもんやから」


こっち側?


えぇー、今サラっとこの人
凄いこと言ったよね。



後ろを振り向くと、
そこに聳えるのは、
5つの高層マンションのタワー。


そのマンションそれぞれを
管理する一族は違うって
なんとなく噂では聞いたことあったけど
私には縁遠い物件だから、
ずっとスルーしてた。



忘れてたよ……。



雪貴の家は金銭感覚崩壊一族で、
Ansyalのメンバーたちも
そうだったんだ。



「あぁ、唯ちゃん?

 おーい、唯ちゃん?
 帰っておいで。
 遠い国旅立ったらあかんよ。

 なんや雪貴、言ってなかったんか?
 あのマンション、俺のもんやて」

「なんで俺がそんなことまで、
 唯ちゃんに説明する必要があるんですか?」

「まぁ、そう言われたらそうやな。
 ほい、お二人さん、そこまで乗りや」


そう促されて乗り込んだ
車は長ーいリムジン。



そして今更に気が付いた真実。