年度初めの遅れなんて
なかったかのようにクラスの中に
溶け込んでとっても優秀な能力を
発揮してくれてる。


そんな頼もしい教え子兼、
恋人を持ってしまっている
私は学校では
関係がばれるとヤバイ教師。



学校内に見る雪貴の仕草に
ときめいて、ドキっとしてる私は
マジ、心臓持たない。


何時かボロが出そうで。



隆雪さんの告別式直後、
二人のTakaの存在で、
雪貴自身も騒がれる形になったけど、
今はそれも上手く終息してくれてる。



神前悧羅学院独自の
鉄壁の守りが、
生徒を守っていく。



校門前に雪貴の姿を見ようと
集まってたファンたちも、
今はガードマンたちの活躍で
誰も近寄ってこない。


学院内を騒がしていた
生徒たちも、
雪貴がTakaだと知っても
すでにいつもと変わらない日々。


Ansyalのギターリストとして
活躍することは、隠す必要はないと
先代理事長である、紫(ゆかり)様からも
現理事長である、一綺(かずき)様からも
お墨付き済み。

穏やかではないのは、
私の思いだけ。


雪貴の周囲に、
女生徒が集まるたびに
イラっ、もやっと
やきもちに精を出す。

雪貴はそんな私を見ながら、
笑ってた。




今日も朝食の後、
雪貴の『行こうか』って一言で
仲良くマンションを出る。



登校している時間は、
家のなかみたいにラブラブでは
居られないけど……
それでも二人で居られる時間は
貴重な時間。


雪貴のマンションを出ると
駐車場から出てきた
車が一台ゆっくりと止まる。




「おはよう。

 よっ、お二人さん朝からお揃い?」



そうやって突然、窓を開けて
話しかけるのは十夜さん。


思わぬ人物の登場に、
かなりびっくりする私。

なんて、神出鬼没なの。

そんな私とは違って、
雪貴は普通に会話を進めていく。



「おはようございます。

 俺は、今から学校です。
 この間から復学したんですよ。

 んで、今から唯ちゃんと一緒に
 通学です」

「んまぁ、デートに
 出掛ける服装とは ちゃーうわな。

 それくらいは見たらわかるわ」


ビシっとスーツを着こなした
十夜さんはAnsyalの
ボーカルをしてる時とは
まったく違って見えた。


お墓参りで出会った時も、
こんな風にビシっとしてたな……なんて
あの日の十夜さんと、憲さんを思い起こす。