主に唯ちゃんの
雑用をすることが多いのも、
音楽準備室に通い詰めるのも
俺自身の担任が唯ちゃんだってことと
昨年のピアノコンクール本選で、
俺を指導した講師だって肩書が
うまく俺たちの関係を隠してくれた。



同じ日々の繰り返し。

ただその中に、
Ansyalとして早退を続けてた
時間が消えてしまった。


そしてそれは、
ありのままの俺自身と
じっくりと向き合わせてくれる。


その日も、
いつもと変わらない日常をこなして
放課後になったら
学校の裏門で待ち合わせ。


唯ちゃんの仕事が
終わるのを待って合流すると
裏道を通って、
病院へと顔を出す。



百花さんは、
今も意識を取り戻すことはないけど、
託実さんの希望で、
病室がICUから、
別の部屋に変わった。



その病室は託実さんが関わる、
一族限定でしか使えないらしい
特別な病室。


その病室に百花さんを
連れて行ったてことは、
託実さんの覚悟も
示された形になる。



唯ちゃんと病院に姿を見せると、
そのまま受付を済ませて、
特別病棟にダイレクトに
続くエレベーターに乗り込む。



ゆっくりとドアが開くと、
控室のソファーには、腰をおろして
ペンを走らせる託実さん。