「百花っ!!」


縋り付くように駆け寄っていく唯ちゃん。


「唯ちゃん。

 百花ちゃんの手術、
 無事に終わったみたいだから。

 ほらっ、邪魔しちゃ駄目だよ」


しがみ付く唯ちゃんの体を
ストレッチャーから引き離して、
俺の方に抱き寄せると、
唯ちゃんはそのまま
俺に体を預ける。


百花ちゃんを乗せた
ストレッチャーの後ろ、
唯ちゃんを支えながら、
ICUまで辿りつくと
そのまま百花を乗せたストレッチャーは
中へと吸い込まれていく。



ICUのソファーに座り込んで、
扉を凝視したまま、
固まって動かない唯ちゃん。



そんな唯ちゃんと、
ICUに視線を向けながら、
もう一人、視界に捉えたのは
憔悴しきった状態で、
体を引きづるように俺の前を通過した
託実さん。


託実さんはICUの前に立ち尽くして
ガウンを羽織った。



「託実さん?」



溜まらず声をかけると、
弱々しい声が告げられた。



「来てくれてたのか」



今さらですか?



喉元まで出かけた言葉を
飲み込んで、
ゆっくりと傍まで近寄る。