崩れ落ちた
唯ちゃんを支えながら通いなれた、
神前大学付属病院にに
駆け込んだ俺は、
そのまま受付で連絡をとって貰って
手術室の前まで急いだ。



手術室の前にある、
待合室のソファーに座らせて、
唯ちゃんを落ち着かせる。




「あらっ、唯香ちゃん。
 来てくれたのね」



唯ちゃんを見て、
声をかけた女の人。



「あぁ……貴方は……
 隆雪くんね。

 託実くんのお友達の」


えっ?


この人……どうして、
兄貴や託実さんの名前まで?


「雪貴、百花のお母さんだよ」


唯ちゃんは俺にそう説明すると、
焦点が定まってないながらも、
確かめるように言葉を続ける。

「おばさん、
 隆雪さんって……どうして?」

「百花は唯香ちゃんにも話してなかったのね。
 あの子は私たちを快く思ってないから。

 託実君は、理佳の……。
 百花の姉の恋人だったの。

 体が弱い理佳を元気づけようと、
 託実君と隆雪君はいつも理佳の病室に来てくれたの。

 だから……てっきり」


そう言って切り返した言葉に、
隣の唯ちゃんは、言葉を失ったように
ただ俺を見つめた。


百花さんは、託実さんのファン。


彼女は託実さんとお姉さんの
関係を知っていた?



それが原因だったら、託実さんは?


「初めまして、宮向井雪貴です」

「そう、雪貴君って言うのね。

 おばさん、
 名前間違えてしまってごめんなさいね」

「いえっ。

 それより唯ちゃんは、
 少しここで待っててくれる?
 
 託実さん、探してくるよ」



そう言うとその部屋を離れて、
歩きなれた、その廊下を徘徊する。


一番情報を
知ってそうな人を捕まえたくて。