誰?




一項になりやまない、
携帯電話を手にしたまま
雪貴の目を黙ってみる。



誰かわからない
電話には出たくない。




その番号を読み取った雪貴は、
覚悟を決めたように
私から電話を
奪い取って通話ボタンを押した。



「もしもし。

 託実さん?
 雪貴です」



えっ?
託実さん?


託実さんがどうして、
私の携帯に?



雪貴の携帯じゃなくて
私の携帯に直接?




「わかりました。
 
 唯ちゃん、すぐに連れて行きます」




何?

話が見えてこない。


託実さんからの電話で、
私を何処かに連れて行く?



えっ?




通話を終えて、
私に携帯を握らせた雪貴が
ゆっくりと開いた言葉は、
楽しかった時間を
一転させるものだった。




「唯ちゃん、聞いて。
今、託実さんから連絡があった。

 百花さんが交通事故で、
 神前に運ばれたって」




百花が……交通事故で
病院に運ばれた?






その言葉で
私の体から力が抜けいく。





……百花が事故?……




「唯ちゃん。

 ほら、しっかりしなって」



雪貴が私の体を支えながら、
タクシーを捕まえて、
抱えられるように、
そのタクシーへと乗り込んだ。









……百花……。






どうか
……無事で居て……。