新学期が始まる頃。


雪貴は今も復学することは
出来ていないけど、
精神面も少しずつ安定してきて
私は、ようやく雪貴以外のことも
考えられるようになってきた。

少し余裕が出てきて思うのは、
一方的に音信不通にしてしまった
疎遠になった、
Ansyal仲間の百花の事。


百花からこんなにも長く
連絡が来ないのも珍しくて。



ずっと百花も
私を支えてくれてた……。



ふと携帯電話を手にして、
電話帳の中から、
百花の名前を表示させる。





発信ボタンを押す、
親指に力が入る。




暫く、Ansyalのサウンドの
呼び出しコールが流れるものの、
百花が電話に出る気配はなかった。





その日が日中だったのもあって、
『仕事なのかな』って電話を切った。



そう、私たちは学生じゃない。



百花も私も、
社会人だからすぐに
つかまらない時もある。



そう自分に言い聞かせながらも、
親友と連絡が取れない現状を
意識してしまうと
不安の闇は消えなかった。